シロギス陸上養殖の最新研究成果を発表 ~日本水産増殖学会で注目を集める~
株式会社クラハシ
株式会社クラハシと福山大学の共同研究チームは、日本水産増殖学会第22回大会において、シロギス陸上養殖に関する一連の研究成果を発表し、大きな注目を集めました。
■「海の女王」シロギスとは
シロギスは、北海道・沖縄を除く日本各地で漁獲される人気の魚です。パールピンクや虹色に輝く美しい魚体から「海の女王」と呼ばれ、透明感のある白身で臭みが少なく、刺身や昆布締め、天ぷら、フライ、塩焼きなど様々な料理で親しまれています。
しかし近年、乱獲や温暖化の影響で90年代中頃と比較しても漁獲量が10分の1に激減。(※1)特に産卵期である春から夏以外は極端に漁獲量が少なくなり、シーズンオフには品薄となって高値で取引される状況が続いています。一部では近縁種が代替として輸入されていますが、シロギス本来の上品な甘さやくせのない淡白な味わいとは異なります。
※1 水産研究・教育機構 令和 4(2022)年度 資源評価調査報告書(新規拡大種)
■「びんごの姫」誕生までの道のり
この課題を解決するため、当社は2018年より沖縄県伊平屋島にて、福山大学と共同で「養殖シロギスプロジェクト」を開始しました。伊平屋島は沖縄本島北部から41.1キロに位置する最北端の有人島で、エメラルドグリーンの海に囲まれた美しい自然環境を有しています。
福山大学では2015年からシロギスの生態研究を進めており、当社が持つ伊平屋島の陸上養殖施設で完全養殖の実現に向けて取り組んでいます。現在では50トンの陸上養殖水槽24基を活用した養殖を展開。養殖されたシロギスは「びんごの姫」と名付けられ、天然魚より傷が少なく鮮度が長持ちするという特徴を持っています。
■学会での注目の研究発表
今回の学会では、以下の4つのテーマについて研究成果を発表し、企業や研究者から高い評価をいただきました。
・親魚の育成と採卵技術
シロギスを安定的に養殖するための親魚育成方法や、効率的な採卵技術について
・種苗生産技術
健康な稚魚を育てるための飼育環境や餌の与え方などについて
・養殖技術の現状
シロギスの成長を促進させるための工夫や、直面している課題について
・光環境の研究
シロギスの成長に適した光の強さや色について
■直面する課題と今後の展望
伊平屋島での養殖には、冬場でも15℃以上という温暖な環境を活かした効率的な育成が可能という利点がありますが、当初は多くの仔魚が全滅するなどの困難にも直面しました。これらの課題に対し、現地の養殖担当者は福山大学からオンラインで日々指導を受けながら、懸命に取り組んでいます。
昨年4月には養殖場に隣接して水温管理のできる沖縄種苗研究センターを創設し、親魚の採卵を開始。将来的には養殖シロギスの生産量を50万尾まで増やし、国内のみならず海外への輸出も視野に入れています。
■未来の海を見据えた持続可能な取り組み
当社は「獲る漁業から育てる漁業へ」という理念のもと、SDGsが注目される以前から水産資源の持続可能性に着目し、「備蓄事業」や「養殖」に取り組んできました。
生物多様性の観点から、天然資源を絶やさない努力を前提としつつ、これまで養殖の対象となっていなかった新たな魚種への挑戦は重要な意味を持ちます。養殖魚を「天然魚が増えるための調整魚」と位置づけ、今後も福山大学の指導のもと、未来の海のために持続可能な漁場への取り組みを進めてまいります。
※本研究は、福山大学との共同研究として実施しております
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